書籍売り場で見つけて、思わず買ってしまった本なのだが、
読んで見るとかなり時代考証や年代の特定に役立つヒントが
かなり多いことに気がついた。
全5巻で、1巻が戦前、2巻が昭和20年代、3巻が昭和30年代、
4巻が昭和40年代、そして5巻が昭和50・60年代となっている。
そして何よりも嬉しいのは、載っている写真が戦前から昭和40年代までが
あの木村伊兵衛氏で、昭和50・60年代は田沼武能氏だ。
アタシは木村伊兵衛氏の写真が大好きで写真集も持っているので
その写真とすべてダブってしまうのだが、それでも見ていて飽きない。
恐らく、木村氏も田沼氏も「良い被写体だから・・・」だとか
「これはいい写真になるかも」などと思っては撮っていらっしゃらないのでは
ないだろうかとまた勝手に想像している。
どうしても、人間、そのような欲目が出るとただ技術的にキレイな写真に
なってしまって、その切り取った風景の持つ味だとか匂いが
伝わってこなくなってしまうのではないだろうか?
心のままに切り取った風景が、このようなすごいとしか言えない
作品を残したとしか考えられないからだ。
だから、宮本常一氏の写真なども当然、アタシは大好きだ。
宮本氏の写真はピンボケとかブレている物が多いのだが、
写真家ではないのだから、それでも良いのだ。
ような何を伝えたいか、撮った本人が何を感じたかが問題なのだと思う。
ちょっと、話は脇道にそれてしまったが、すごいとしか言えない
写真と、さまざまな方々のエッセイなどを載せているのだが、
よく注意して読むと、かなり資料としても使える本だ。
昭和生活文化年代記
1巻 戦前 三國一朗氏・編集 木村伊兵衛氏・写真
2巻 20年代 川本三郎氏・編集 木村伊兵衛氏・写真
3巻 30年代 諸井薫氏・編集 木村伊兵衛氏・写真
4巻 40年代 村松友視氏・編集 木村伊兵衛氏・写真
5巻 50・60年代 泉麻人氏・編集 田沼武能氏・写真
TOTO出版 各1800円+税
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