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これは、かなり資料性の高い本だ。
値段はかなり高いのだが、それだけの価値はある。
小説やエッセイではない。
2冊構成になっているのだが、1冊目は明治、大正から
昭和の初めまでの文献を主体に書かれており、
なかには、大阪の新世界興隆史などもある。
かなり細かい数字でデータなども記されており、
読み物としておもしろかったのは、
「接客読本」で、電話のかけ方や、注文品が品切れだった
場合のお客様への返事の仕方など、挨拶の仕方、
テーブルマナーや和食のマナー、お茶の飲み方、
レコードの手入れの仕方まで載っていた。
組合の規約書などまで載っている。
2冊目は完全に遊郭の本になっている。
昭和5年(1930年)当時の日本全国の
遊郭案内が載っている。
くわしい場所と歴史が書いてある。
そして、更にこの2冊目には、
昭和33年(1958年)に警視庁防犯部が
製作したルポルタージュ映画「赤線」の
ビデオが付録としてついている。
警視庁が作っただけに東京が対象なのだが、
くわしい場所と歴史、街の特徴がよくわかる。
この本のサブタイトルが「見えないものの文化史」。
資料として大変価値があると思う本で、
先日建築本の書庫にアップした「赤線跡を歩く」なども
この本を参考文献としているくらいだ。


見えないものの文化史
近代庶民生活誌 13巻  色街・遊郭
南 博氏 責任編集
三一書房     10,100円(税込み)


見えないものの文化史
近代庶民生活誌 14巻  色街・遊郭
(昭和33年)ビデオ付録
南 博氏 責任編集  
三一書房  12,000円(税込み)