京都の綾部にグンゼ記念館というのがある。イメージ 11
大正6年(1917年)築。 
設計は四方亀蔵氏、木造建。
旧郡是本社の建物。
サークル活動は基本、土日に活動なので
なかなか開館している時に見学ができなかったが、
思い切ってグンゼ本社に連絡してみたところ、
サークル活動のことを話し、できれば社員の方の
説明などもお願いできればという厚かましいお願いに
快諾していただき、見学させていただけることになった。

(このサークルでの訪問はかなり以前なので、現在はそのような申し出があっても
 対応していただけるかはわからない。アタシがブログの更新をさぼっている為、
 実際の訪問やグンゼへの交渉はもう何年も前のことだからだ。)

右上の画像がグンゼ記念館。
大正6年(1917年)築。 設計・四方亀蔵氏。 木造地上階建。

すぐそばに昭和8年(1933年)築の旧社屋が残っている。こちらはRC造2階建。
イメージ 1イメージ 2
まるで星のような形の柱が美しい。
見学させていただくのは、
一番最初の画像のグンゼ記念館と
そのお向かいにある旧繭蔵だった
グンゼ博物苑だ。

旧繭蔵だったグンゼ博物苑(右下画像)は明治43年頃(1911年頃)の建物を
改造して繭から糸を作り、それを紡いで作られた製品やそれらを生み出す機械や
歴史などの説明書きがたくさん展示されており、イメージ 3
自分たちの身近な物に関するばかりでとても楽しい。
昔の繭の選別器や靴下製造編み機のような物や
まだストッキングが高価だった時代のストッキングの
ほつれを補修する特別な補修編み機や半袖の肌着や
ブリーフができるまでの実際の工程がわかるような展示物。
写真のアップロードができないのが残念なくらい面白い博物苑だ。

この博物苑を訪れて初めてわかったのだが、グンゼは肌着だけではなかった・・・
肌着の老舗メーカーという認識程度だった自分が情けない。

『エンジニアリングプラスチックの継ぎ目のないベルトを製造し、
 カラー転写機やプリンターの転写ベルトに使われている。』

『耐久性の強い絶縁チューブなどや半導体業界で超純水洗浄フィルター向けの
 部材の紡糸の繊維。』

『菓子、瓶、乳製品、畜肉の用途や医薬、工業でも使用されている二軸延伸複合
 ナイロンフィルム。』

『グンゼの技術はタッチパネルなどにも応用されている。』

『手術用の糸、簡易型自己血糖測定器、骨の接合剤、人口皮膚などや
 その材器も作っている。』

などなど展示内容から新しい発見が続々と・・・・

一番驚いたのがペットボトルのラベル用のフィルムもグンゼの技術だそうな。
社員の方の説明も丁寧、親切だった。

博物苑の展示内容に関しては下記をご参照していただければと思う。
        ↓
http://www.gunze.co.jp/gunzehakubutu/


イメージ 4見学後に受付で繭のお土産をいただいた。
加熱処理後の繭なので固いが、強めに押すと
中が空洞なのがわかる。
博物苑の受付から記念館へ連絡を入れてもらい
記念館の見学に。

こちらの記念館でも別の社員の方が案内をしてくださった。

明治29年(1896年)に郡是製糸会社として作られたそうな。(糸は旧字で糸2つ。)
当初、京都、それも特にこの地方の繭、生糸は粗悪として有名だったそうな。
そこで、蚕糸業組合の組合長の波多野鶴吉氏が羽室組という製糸場を設立。
元農務省次官の前田正名氏を呼び寄せ、彼の産業立国論にある、
『今日の急務は国是、県是、郡是、村是を定むるにあり。』から『郡是』となった。

一株20円で資本金98000円を集め、品質向上のために正量取引を確立。
そして、明治33年(1900年)には毎月5の日と10の日の相場で
生糸売買する成行約定を輸出商社と結ぶ。
やがて全国の業者もそれにならったそうな。

記念館の内部写真もアップロードできないが、上記のURL(グンゼ博物苑)の
サイトで写真をご覧いただければと思う。

イメージ 5グンゼには創立以来の「三つの躾」というのがある。

あいさつをする・はきものをそろえる・そうじをする

当たり前のことだが、その当たり前を実際に行い
継続するのは結構難しいかもしれない。

この三つの躾が書かれたA3の大きな紙もお土産にいただいてきた。
博物苑の社員の方も記念館の方も上記の躾のおかげか誠に感じが良く、
仲良くサークルの集合写真に一緒に納まっていただいた。

記念館に入ったと同時にかなり強い雨が降ってきたので中庭にある蔵を
うまく撮影できなかったのだが、蔵には「是郡」の鏝絵があった。
郡の文字が旧字になっている。
イメージ 6右側のつくりが「邑(むら)」になっている。
この蔵も恐らく設立された当時のものだろう。
蔵の窓の庇の下にある鏝絵もかなり気になった。
だが、雨が激しくて肉眼でもかなりわかりにくい。
目一杯ズームにしてカメラで撮影したところ、
波とあと何かが描かれているようだ。

イメージ 7イメージ 8三つある鏝絵だが、
一つは兎と亀が写っているように見えなくもない。
残り二つは画像を拡大したり
明るくしたりしたが不明だ。


見ようと思えば鳳凰の首が描かれているように見えなくもないのだが、
やはり暗い天候の中、離れた屋内からの撮影だったので無理があったようだ。
イメージ 9イメージ 10
記念館の換気口の模様がなんとなく
ストッキングの網目の模様にも見えるのは目の錯覚だろうか?


記念館、博物苑だけでなく、隣接する建物もそのほとんどが
大正から昭和にかけて建てられたものばかりだ。

強雨にもめげずに撮影はしたものの、レンズの雨滴が写っていたりで
その建物の画像はアップできないくらい悲惨な画像ばかりなのだが
博物苑の展示も記念館の展示も非常に良かったので
雨が降らない日に再訪したいと思っている。