このブログを始めた頃にアップした蓋の記事について8年ぶりに考えてみた。
ブログ仲間の馬明さん(http://blogs.yahoo.co.jp/aqua01242000/35424355.html)の
「岩本町の角蓋」の記事にアタシの過去記事をトラックバックするつもりで
8年前の自分の記事を読み返していた。
偶然だったのだが、別の調べごとをしていてわかったことと自分が書いた
ブログ記事のことが結びついたような気もしたので、
馬明さんには過去記事とこの新しい記事をトラックバックさせていただくことにする。
さて、8年前にアップした問題の蓋は、
上の画像の蓋なのだが、書いてある文字が「下水」と「榊」に見える文字と「沼」。
馬明さんはこの「榊」に見える文字を「柳」ではないか??
近くには柳原商店街などもあるので、と、考察されていらっしゃる。
アタシも「榊」はどうか??
実は、この蓋が発見されているのは神田岩本町。
「柳原」というのは、よく時代小説や時代劇などに出てくる場所で
江戸時代から「柳原土手」とアタシたちは呼んでいた。
ただ、イメージ的に江戸時代の盛り場である浅草橋に繋がる道なのだが、
夜は辻斬りとか多かった場所でもあったようだ。
神田の人間としてのイメージで言うと、あまり柳原は使わないような感じだ。
むしろ地名として残しているのは浅草橋、鳥越地区の方だ。
町名変更で消えている地名だが、今でも「柳北町会」などと
地元の人間は呼んでいるくらいだ。
神田岩本町と浅草橋は非常に近い距離にある。
普通に歩いて行ける距離だし、アタシも普通に歩いて移動している。
たまたま別件で調べ物をしていて「浅草榊町」というのがかつて存在したことが
判明した。
明治5年(1872年)に第六天榊神社が移転してきたことにより、
「浅草榊町」と言う町名に変更になった場所がある。
現在の柳橋1丁目と浅草橋1丁目だ。
その後、昭和3年(1928年)に神社は蔵前へ移転し、昭和9年(1934年)に
「浅草榊町」は「浅草橋1丁目」と町名変更をしている。
都内に詳しくない方のために一言申し添えておくと、
スカイツリーの近くの浅草ではなく、戦前の「浅草区」の浅草であって
観音様のある浅草ではない。
江戸時代には浅草よりも浅草橋の方が「お江戸」だった。
浅草は江戸というよりも江戸郊外とのギリギリの境にあたるのだ。
「浅草榊町」に話を戻すと、「柳橋1丁目」も「浅草榊町」になる。
「榊」と「柳」だ。
どうしても神田で「柳うんぬん」と言うよりは浅草橋近辺での「柳」の方が
アタシにはしっくりくる。
神田で柳原と言っても、土手のイメージしかないからだ。
恐らく、明治、大正、昭和のはじめとなると、そのイメージはもっと濃厚だろう。
これを浅草橋と考えると、「榊」も「柳」も両方うなずける。
もしかして「浅草榊町」の沼のつくお名前の店が作った蓋ではないだろうか??
現在よりも少し遡った時代の資料でかったっぱしから「沼」のつく名前の業者を
探してみたのだが、1件も見つからなかった。
「榊沼」もしくは「柳沼」は会社名というよりは、「屋号」ではなかろうか?
この近辺の人間は今でもお互いを屋号で呼び合うことが多い。
あくまでも、アタシ個人の推測の域でしかないのだが、
「浅草榊町」にあった業者ならば、「榊」でも「柳」でもどちらでも正解なのだと思う。
昭和9年(1934年)に「浅草榊町」という町名はなくなったが、
屋号として名前は残っていたことだろうと思う。
自分の記憶を手繰ってみて柳橋周辺の蓋を思い出してみたのだが、
あの近辺は再開発が繰り返されており、柳橋自体も橋や堤防工事が
行われているので、そんなに古い時代の蓋が残っていなかった記憶がある。
たまたま祖父の代からの付き合いのある柳橋の食べ物屋の主にも
電話して聞いてみたのだが、店主もまだ70歳にもならないために
当然、何もわからないとのことだった。
もしかしたら、店主のご母堂だったら何か覚えてらっしゃったかもしれない。
一番最初にブログにアップした頃はまだご存命だったし、
この写真を撮影した当時はアタシもよくその店に行っていたので
その時にこのことに気がついていたら何か伺えたのかもしれぬと思うと
自分の頭の悪さが情けなくなってくる。
恐らく、「榊」でも「柳」でも正解だろう。
もう、勝手に決め付けることにした。
もしかしたら、全く違うのかもしれないが突然閃いたことなので、
自分自身の勘を信じこむしかないだろう。
そういえば、アタシの実家も社名と屋号は全く違う名前を使っていたが、
近所の人たちや出入り業者の人たちは 皆、屋号で呼んでいた・・・・
現在の資料では社名しか載っていないだろうから、
調べ方も変えないとわからないかもしれない・・・
それか、案外、かなり以前に廃業された柳沼さんとおっしゃる会社が
作った物だったりするやもしれぬ・・・
無理なこじつけなどせずに、そのまま素直に柳沼工業所と読めば
あれこれ考えなくとも済むのだが、考えるからこそ楽しいのだ。
と、先ほど補足したのだが、柳沼某という会社だとしたらこの蓋に
正確に記されていないのがものすごく気にかかる。
通常、店の名前は正確に記すはずだ。
再度の補足になるが、やはりこれは「屋号」だと思う。
洗髪しながら、突然閃いた。
何も考えていない時に「あれ!?」っと浮かんできたのだ。
アタシの過去記事はこちら
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